鹹豆漿を提供するきっかけ

「昔清川に美味しい豆腐屋さんがあってね、夕ごはん前にお使いに行ってました。」そんな話を聞いたのがはじまりです。残念ながら今はないのですが、地域の人々の思い出(ヒストリー)をカタチにしたいなと思うようになりました。

一方、担当している清川関所では、平日の来所者を増やすことが課題になっており、イベント開催など取り組んでいます。

そこで思いついたのが、豆乳を使った料理を平日に提供することでした。2023年から台湾スイーツの豆花をアレンジした「庄内フルーツ豆花」を提供しています。

その中で「ごはんもの」を食べたいというお声を耳にするようになり、また豆花の材料・豆乳の有効活用という課題解決になる料理を…と考える中でたどり着いたのが「鹹豆漿」でした。清川関所が冬季休業に入った2023年12月1日から試作を重ねて、2024年1月から提供をはじめています。

鹹豆漿について

さて台湾では豆乳を豆漿(ドウジャン)と言います。

この豆乳を使った
・甜豆漿(ティエンドウジャン):甘い豆乳
・鹹豆漿(シェンドウジャン) :おぼろ豆腐のような豆乳スープ
は台湾朝ごはんの定番料理です。
油條(細長い揚げパンのような麩)や三明治(サンドイッチ)、炸蛋餅などと一緒にいただくのが台湾朝ごはんの定番。

私はコロナ禍前まで年に3-4度台湾を旅していたのですが、朝食なしの宿に泊まった朝は外に出かけて食べていました。台湾の人たちの多くは出勤途中にお店で朝ごはんをテイクアウトしたり、店先で食べたりしています。人々の中に交じって食べていると、なんか旅してるなぁ~って感じるんですよね。

庄内風鹹豆漿

私が現在、立川複合拠点施設内のカフェ厨房で提供している鹹豆漿は、本場・台湾の鹹豆漿をアレンジした庄内風。
芋煮が内陸風と庄内風があるように、鹹豆漿にも庄内風があってもいいはず!と思って作りました。

庄内風鹹豆漿

まず豆乳。豆腐が作れるお豆腐屋さんの濃厚な豆乳を使っています。干し海老やネギは台湾と同じ。味付けには地元・ハナブサ醤油さんのお醤油。そしてパクチーやザーサイの代わりに庄内のお漬物「ぜんご漬」をのせ、油條の代わりにミニパンをセットしています。

私が未来につなげたいこと

私は地域おこし協力隊の仕事は「地域で新しいことを始めるきっかけ作り」だと思っています。庄内フルーツ豆花や庄内鹹豆漿もまずできることから始めて、地域の食材や受け継がれてきた調理方法等をより多く活かしたオリジナルができればいいなと。例えば庄内町で大豆を生産されてるという話を聞いているので、いつかこの大豆で豆乳から作れないかなと考えています。

ヒストリアキュレーター

こんな小さな取り組みですが、興味を持っていただける方に未来へバトンをつなぐくことができれば、これほど嬉しいことはないです。その為に「今できること」を地道にコツコツ積み重ねていきたいと思います。