2024年5月6日まで特別開館された「寒河江市郷土館(旧西村山郡役所・旧西村山郡会議事堂)」を訪ねました。

旧西村山郡役所

受付で観覧券を購入。係の方から建物の概要や展示について説明いただきました。

寒河江市郷土館

山形県内残る郡役所の建物は、東田川文化記念館(旧東田川郡役所)や致道博物館(旧西田川郡役所)、天童織田の里歴史館(旧東村山郡役所)、小桜館(旧西置賜郡役所)があること、また私が庄内から来たことを話すと、ご実家が旧松山藩の領地にあることや藩士が出張の際に滞在していたことなどをお聞きしました。

沿革

1878年(明治11年)
・ 8月10日 郡役所建築棟梁に冨樫伊久助(寒河江)が任命
・11月24日 会津藩出身の海老名李昌が西村山郡長の初代郡長に就任
・12月 4日 落成
・11年12月 7日 開庁
1981年(昭和56年)
・10月   長岡山の寒河江公園内に移設復元され、
      旧西村山郡会議事堂と共に「寒河江市郷土館」として保存

旧西村山郡役所の工期はなんと約4ヶ月!ビックリしました。

建物を観察

建物の見どころポイントは入ってすぐの左側に写真付きの解説ボードがあります。まずこちらをチェックしてから観察すると分かりやすいと思います。

寒河江市郷土館

突出した玄関ポーチ(車寄せ)

・洋風の建築柱
・神社仏閣を思わせる幕板の装飾
・バロック風の半円のガラス窓(ファンライト)
・木製バルコニー(老朽化で入れない)

寒河江市郷土館

屋根は銅板葺き・寄棟造り

・2階屋根はデンティル・軒蛇腹
・2階屋根は垂木装飾

下見板張りの外壁(内壁は和紙)に「上げ下げ窓」がついています。

展示

1階の事務室として使わてれた部屋が展示室。地域の功労者を紹介するパネルや第七代西村山郡長の西川耕作の礼服の他、生産が盛んな草履(谷地はスリッパが有名)やこけし等が並んでいました。さらに農機具や生活道具の展示、いろりのある居間を再現したコーナー等がありました。

本多成充

功労者の中で紹介された本多成充(ほんだせいいん)は、庄内藩士・本多十右衛門の子。戊辰戦争では一番大隊に属して秋田・横手方面へ転戦。明治維新後は酒田県に勤めた後、西村山郡寒河江村へ移住して西村山郡役所書記となりました。明治20年頃よりサクランボの栽培を試み、育成した苗木を近隣農家に分け与えたそうです。また寒河江町長や農産物試験場長を務めます。(参考:新編 庄内人名辞典)

建物内側を見学

玄関入って左側は事務室、右側の階段下に郡長室があります。階段を上がって2階へ。こちらは会議室として利用されていました。

旧西村山郡会議事堂

現在は縄文土器や石器など考古学資料が展示されている「旧西村山郡会議事堂」展示されいる棟札には、第七代西村山郡長の西川耕作や建築棟梁 井上利助(谷地)らの名前を見ることができます。1876年(明治19年)6月から約3ケ月で完成と説明されており、その工期の短さに驚きました。

建物外側を観察

寒河江市郷土館

・洋風の建築柱
・正面玄関の脇にもうひとつ玄関がある
・玄関ポーチの屋根が和風

建物内側を見学

玄関入って右側は事務室、左側は議員控室、奥に議長室があります。各部屋には考古学資料が展示されていました。
階段を上がって2階は議場として使われていたそうですが、現在は空きスペースになっています。

あとがき

擬欧風建築に魅せられた私は、2019年から日本各地(主に東北)を訪ね歩いています。寒河江市郷土館を前回訪ねた際は休館中。

寒河江市郷土館

5年越しでようやく見学することができました。